みなさまご存知のとおり、
私は12年間、幼稚園の先生として
働いていました。
めちゃくちゃ好きな仕事ではあったのですが、
今、考えてみると時間貧乏だったなと思います。
時間や人に拘束されてたという感じでしょうか。
時間があればなんでもできるのに、
時間だけが唯一平等に与えられているものなのに、そのことに全く気づかず
ただただ、毎日をやりきることに必死だった典型的な時間貧乏なケースを
私の実体験をもとに、ご覧いただきたいと思います。
目次
時間貧乏1、人によって左右される時間
園長先生
話を学生時代までさかのぼってみると、
私は、就職課の先生に薦められ、県内、いやおそらく全国でも5本の指に入るであろう
高収入の私立幼稚園へ就職することになっていました。
短大最後の思い出にユニバーサルへ友達7人で旅行に行っている最中に
携帯電話が鳴ります。
プルル…プルル…(まだスマホではない時代です(笑))
私:「はいもしもし」
園長先生:「ちあき先生??急なんだけれど、明日から研修期間を設けようと
思いますので、9時に幼稚園に来てくれる?
持ち物は、実習の時に持ってきたものと同じね♪では、明日待ってますー。」
私:「明日ですか。。?!
(今、絶賛卒業旅行中なんですけどなんて言えない、、)
はい。わかりました。9時に伺わせていただきます。」
おだやかな気品のある園長先生で
人間としては好きだが、
園長先生はいつだって急に物事を伝えてくる人だった(笑)
私は、こうして園長先生が言われたとおり
先生になるいう期待と不安を脇に抱える間もなく、
幼稚園の先生になるために、
急激な研修期間がスタートしたのです。
新任研修期間:約1ヶ月
時間:9時〜15時まで
研修内容:バスの添乗、クラス担任の補助、掃除
(年少、年中、年長とそれぞれベテランの先生のクラスに入って
朝の保育から、お帰りの保育まで見させてもらう)
卒園式の会場設定などの裏方の仕事も覚えたりしました。
それぞれのクラスとの子どもたちとも関わって、仲良くなり
「ちあき先生だいすきー♡明日もまた遊ぼうねー!」なんて、
言われて、大変な仕事や持ち帰り仕事もなくて、(研修期間だから当たり前(笑))
〝思ってたより、幼稚園の先生って簡単じゃん?!〟
とんでもない勘違いを起こした私。
人による時間貧乏はまだまだ続きます。。
ヤンキー先生
3月19日の終業式の日の終礼の時、担任発表が行われるそうで、
前々から、先生たちはそわそわしている状況で、ベテラン勢たちも
緊張している様子。
〝へー担任発表ってベテランでも緊張するものなんだ、、〟
と思いつつ、クラスごとに担任発表が行われ、そのクラスの子どもの名簿が
同時に渡されていきました。
「えーーーー、、〇〇さん(モンスターペアレンツ)のいるクラスかぁ。。」とどんよりする先生や、
「やったーーーー!!!」と歓喜を起こす先生など、反応が様々。
「年中の〇〇組はちあき先生、お願いします。」と、
気品溢れる柔らかな声で園長先生が言い放ち、名簿を渡され見てみると
〝名簿見てもわかんなーーーい(´∀`)〟心の声1
とりあえず、一緒に学年を持つ
ベテランだけど金髪でヤンキーみたいな見た目のY先生(絶対一緒には組みたくないと願ってた先生に当たるという、、泣)と
3つ上の怖い印象があるE先生に挨拶に行きました。
とにかくヤンキー先生が怖い。。敵にまわしたら終わりだな。。
てか、こんな見た目で幼稚園の先生って大丈夫なの。。?心の声2
とにかくこんな感じで、私の先生生活がスタートしました。
幼稚園の先生の春休みは戦争です。
作るもの、書き物、名札の名前を書いたり、あらゆるところに氏名印を押したり、
用意しないといけないことが多すぎて、2週間の春休みは毎日徹夜でした。
とにかく、そのヤンキー先生が、何も教えてくれない先生で
私:「Y先生、この資料ってどこにありますか??」
ヤンキー先生:「あっち。」
私:「はい、ありがとうございます。」(とりあえずお礼の言葉を言ってみたけど、あっちってどっちですか?!って聞きたいけど、口が裂けても聞けない(笑))心の声3
私:「Y先生、これってどうやって作ればいいですか?」
ヤンキー先生:「んーー適当。」
私:「ありがとうございます。」(適当ってどんなんやねん!)心の声4
こんな状況ではありながら、なんとか制作物や書類を全て完成させ、新学期をスタートさせることができました。
そもそも、何をやればいいかがわからないのに
何も教えてもらえない(聞いても適当な返事(笑))ので、
どの手紙をいつ配布するのか?
お便り帳は、いつ預かるの?
給食のお当番のやり方ってどんなふうにやるの?
M.M(週に1回の園の行事)って何?
小さいことも大きいことも全てがわからず、、。
でも、【わからないことは、学年主任の先生に聞く】という幼稚園の謎の
教えがあったので、他の先生には聞きづらいし、
逆らったら恐ろしいことになりそう。。(´∀`)だからヤンキー先生に聞くしかない泣
何よりも勇気を振り絞って聞いたとしても、ちゃんと返事が帰ってこないことが一番辛い環境でした。。
そして、そのヤンキー先生、やることがのんびりなタイプ、、
その先生がやっていることを見たくても、現物がないから見れないし
言葉で説明されても、イメージがわきにくい。。
学年のことは、3人の担任で案を考えていくのに
数ヶ月に1回、集まって話し合う日があったのですが、
私は、提案できるように前々から色々な資料を揃えていったり
して、提案するのですが、毎回、全部却下。
そして、その集まる日さえも急に決まる。
〝今日、友達とご飯食べ行く日なのに、、〟
いいも悪いもない。
どんないいものだって、却下されるし、
微妙なものでも、その先生に気に入られれば、採用。
その先生の一声で、全てが決まる。
年功序列の世界だから、刃向かうことは許されない。。
むしろ、社会のことをよくしらない素直なひよっこだったので、
これが当たり前なのかなぁ。。なんて思っていました。
子どもたち
そして、この環境なのに、受け持ったクラスが最強なクラス。
メンバーをざっと紹介しましょう♪
・モンスターペアレント軽く4組。
・すぐに引っ掻く子2人
・発達障害児1人
・日本語が話せない両親でイスラム教のため毎日弁当持参のアラビア系の子ども1人(会話が出来ないし、弁当のない日があったりして、弁当の管理が大変)
そして、モンスターペアレントに日々精神的にメッセージ上(バスで会わないといけない時は、朝から憂鬱で死にそうでした)でダメージを受ける毎日。
子どもたちも、ろくにまとめられない毎日。
行事のプレッシャー。
仕事がどんどん溜まっていって、やってもやっても終わらない。
帰宅後すぐに夕飯を5分で済ませ、
制作物や書類作成、ピアノの練習など、徹夜で行い
倒れこむように眠り、すぐに朝がやってくる。
睡眠時間4時間。。
眠たい目をこすり、朝食も食べず
6:30には家を出て、車の中でメイク!
(通勤で1時間かかっていたので、時々居眠り運転してました。。)
こんな状態が毎日続き、
ひとつの作業が終われば、次の行事がやってきて、
ひとつ問題が解決したら、また次の大きな問題がやってきて、
やってもやっても終わりが見えてこないラットレース状態。。
なんせ、生身の人間相手ですから、
- あの子が噛み付いたとか、
- 体調が悪い子の対応とか、
- アレルギーの子どもの対応とか、
- おもらししちゃったとか、
- 嘔吐しちゃうとか、
- 喧嘩して泣いてる子とか、
- ママがよくて泣いてるとか、
- 砂場の砂を教室にぶちまく子もいれば、
- 勝手にはさみを出してきて、美容師さんごっこをして、髪の毛を切り始める子もいれば、
こんなのを1人で対応しているわけなので、そりゃぁ、トラブルも日常茶飯事ですし、体の疲労度が、、( ; ; )熱があっても休めない。。
こんな状態であっというまに1年が過ぎました。
2年目、3年目、4年目と年月がすぎるたびに、
少しずつ仕事も慣れてきて、心身ともに余裕も出てきましたが
忙しい毎日でした。
大変な仕事ではあるけど、
目の前の子どもたちの成長や、自分自身の成長、
保護者からのたくさんのありがとうをいただきことで、
日頃の過労も拭えていました。
好きな仕事だったのでした。
今思ったら、この世界しか知らないから、無理やりそう思わせていたのかも知れませんが。。( ; ; )
時間貧乏2、行事によって奪われる時間
とにかく行事が多い幼稚園。
運動会とか発表会とか大きな行事も、見栄えがすごい!
運動会でいえば、
組体操に鼓笛隊、リレー。
楽譜を作ったり、100人以上いる園児の立ち位置を考えたり、配役の決めかたを考えたり、
衣装の数は揃っているか。楽器は足りているか。壊れてしまっているところはないか。
この他にも保育参観、社会見学、遠足、季節の行事、誕生日会などなど
盛りだくさん!!
ベテランになって、たとえ
どんなに仕事の効率が良くなっても、
やっぱり、やることは多く、質を求められますし、
それなりに立場も上になるので、
責任やプレッシャーものしかかってくるんです。
自分自身も、「昨年よりもいいものを作り上げなきゃ。。
若い先生よりもいいものを作らないと。。」
と、どんどんハードルをあげていってました。。
そして、ただでさえ行事が多いのに
生身の人間相手ですから、
あの子が噛み付いたとか、体調が悪い子の対応とか、アレルギーの子どもの対応とか、
おもらししちゃったとか、嘔吐しちゃうとか、喧嘩して泣いてる子とか、ママがよくて泣いてるとか、砂場の砂を教室にぶちまく子もいれば、勝手にはさみを出してきて、美容師さんごっこをして、髪の毛を切り始める子もいれば、こんなのを1人で対応しているわけなので、そりゃぁ、トラブルも日常茶飯事ですし、体の疲労度が、、。
それでも、やりがいがあるから、頑張れたのでした。
時間貧乏3、精神的によって奪われる時間
小さい子どもの相手なので、
とにかく、気を張る職業です。
怪我をしないようにとか、トラブルが起きないように気を張っています。
万が一、起きてもすぐに処置できる体勢にしておく必要があります。
- 子どもが昨日熱が出たので、様子を見ておいてください。
- 今日の給食はアレルギー反応が出るかもしれませんが、よろしくお願いします。
- 今日の避難訓練は、サイレンの音に怖がって泣くかもしれません。
- お薬を飲ませてください。
- 〇〇ちゃんが叩いてきたといっています。トラブルがあれば教えてください。などという保護者さんからの要望もあるので、プラスで
その子にも配慮して、気をつけていないといけません。
子どものこと、保護者のこと、先生たちの人間関係(怖い先輩や意地悪な人先生がいると
ものすごい精神負担で、謎の動悸が治らないときもありました。(笑))
怖い先輩たちに嫌われないように、波風立てないように、、。と。
こんな感じで、
とにかく、精神面で気を張らないといけない時間が日常茶飯事なのでした。
気を張ることが当たり前すぎる日常で、
肩の力を抜く方法がわからなくなってしまい、
ヨガを習いにいったときに、
「肩の力を抜いてくださいね〜」と毎回、どの先生にも言われていました(笑)
私は、力を抜いているつもりなのに、
いつのまにか、抜けない体になっていたことに驚きました。
力が抜けていないということは、疲れが抜けないということです。
疲れが抜けないということは、おそらくパフォーマンスや思考の質も良くないですよね。
1時間でできるところを2時間かかったり、無理やり1時間で終わらそうと頑張るから
疲れますよね。
とにかく時間貧乏は人生貧乏!!
熱があっても、休める環境ではないですし
土日も仕事のものを買いにいくために出かけることばかり、
頭の中はいつも仕事のことばかり。
なんやかんやで、12年間このような毎日を過ごしておりました。。
やりがいはあるけど、好きな仕事だけど、時間貧乏。
これが私の、12年間の時間貧乏生活です。
第4章に続く♪